メリーさんのひつじ日記

文系PhD留学帯同妻のアメリカ・メリーランド州生活奮闘記です(/・ω・)/ 不定期更新

「留学帯同妻」のリアルなお金の話。からの、私が渡米した理由と「研究者」という職業について。

 

 

 プロローグ

 

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パペットマペット第7世代

 

どうもkyoumixです(/・ω・)/

 

今回はちょっと真面目に

「留学帯同妻」のお金の話について書くことにしました。

 

書くかどうか、す~~~~~~~~っごく迷ったのですが、

将来大学院留学をしたいひとや研究者を目指す大学院生のためにも

書かなければ、という結論に至りました。

 

 

 

この記事は、単に「留学帯同妻」の愚痴ではありません(/・ω・)/

 

「大学院留学生」を支援する社会的意義について

私なりの見解と主張をまとめたものです。

 

最後まで読んでくれたら嬉しいです。

  

 

 

 

☆☆☆

 

この記事での「留学生」は、

将来研究者や学者を目指す「大学院(PhD)留学生」を指します。

高校生や大学生の短期留学・語学留学は含みません。

また、MBA留学や、いわゆる「社費留学」も大学院留学とは性質が異なるので含みません。

 

 

☆PhD…博士号のこと。Doctor of Philosophyの略。

☆博士課程とは…修士課程の次。日本では3年間で修了。

修士課程とは…いわゆる大学(学部)の次に行くところ。学部→修士(Master)→博士(Doctor)の順。日本では2年間で修了。

 

☆☆☆

 

 

 

それでは、本編スタートです!

 

 

①「駐在妻」みたいにお金があればなぁ

 

 

アメリカに来て、何度こう思った分かりません(/・ω・)/

 

私はF-2ビザという留学生の帯同者用ビザで、

PhD留学をしている夫と生活するため

アメリカにやってきた「留学帯同妻」です。

 

ビザの関係で残念ながら働くことはできないのですが、

せっかくアメリカにいるんだし、

例えば、日本ではできなかった習い事にチャレンジしたり、

語学学校やESLに通ってみたり、

アメリカのショッピングモールでアメリカンな買い物をしてみたり、

多国籍なレストランの開拓をしてみたり…

あっ、国内旅行なんかも楽しんじゃったりして…!

 

なんて思っていたのですが、

とてもじゃないけどお金がありません!!!!

 

「いや、お金なくても楽しめること見つけりゃええやん」

と思ったそこのアナタ、そういう話じゃぁないんです。

とりあえず最後まで辛抱強く読んでちょーだい! 

 

金銭的サポートの違い、可処分所得の差

 

ご覧になっている駐妻さん、喧嘩を売るような見出しで申し訳ありません。

少しだけ引き合いに出させてくださいm(__)m

 

企業や駐在先によって条件も待遇もガラリと違うことは

重々、承知しております…!

 

 

・家賃、渡航費、保険

 

駐在員がウラヤマシイ…と思うのは、

なんといっても家賃補助などの福利厚生。

企業によって条件はまちまちだと思いますが、

アメリカで働く以上、

医療保険料を会社に負担してもらえたり、

日本への一時帰国の渡航費が補助されたりする場合もあるそうです。

(もちろん、「それでも十分じゃない!駐在のメリットなんてない!」って声も聞いたことがありますが…今回はそういう話じゃないので最後まで読んでくださいまし(/・ω・)/) 

 

一方、留学生にそういったサポートは一切ありません。

家賃、生活費、保険料、自動車の維持費、日本への渡航費…

これらすべてを

RA(Reserach Assistant。指導教官などの研究や授業の手伝いをしてお給料をいただく。)のお給料でやりくりしなければいけません。

 

そのお給料はとーーーーっても少ないです。

少なくとも、それのみで生計を立てることは不可能です。

 

我が家の家賃と食費の収入との比率は、

家賃が約8割、

食費が約3割を占めます。

 

…って!マイナスになっとるやないかーーーい!!!(/・ω・)/ 

 

決して高すぎるアパートに住んでいるわけではありません!(むしろ地域の最安値)

食事だって、決して贅沢はしてません!(たまーーにスタバに行く程度)

 

だけど、だけど、

どう頑張っても家計はいつも赤字なんです(/・ω・)/

 

「じゃあ、どうやってやりくりしてるの?」

という話になるわけですが、

さすがにRAのお給料だけでは生活できないので、

アメリカの民間のFoundationからお金を援助してもらっています(ほんとうにありがたい)。

が、それでもトントンくらい。

 

そして忘れちゃいけない

日本の固定費。

 

日本で加入している医療保険、携帯電話(ソフトバンクアメリカ放題を使っているので)、たまの楽しみのAmazon Prime

 

加えて、日本への渡航費。

往復でだいたい30万円弱。安く抑えても20万円ちょい。

 

これらは、私の貯金から払っています。

(日本で暮らしていたころは、私が正社員、夫が学生だったので!)

 

 

・借りれない奨学金、払えない日本の住民税

 

RAのお給料をもらい、Foundationからのサポートを受けても

生活費は毎月ギリギリです。

趣味や家具なんかに使えるお金なんてありません!!(/・ω・)/

 

さらにお金に余裕を持とうと思ったら、

最後の手段、奨学金を借りなければいけません。

 

大前提、海外留学生向けの奨学金や財政サポートがないわけではありません。

だけどとっっっっっっても!!!!枠が少ないです!!!!

 

特に文系の場合、留学を志す学生が少ないためか

募集人数が非常に少なく、その枠を狙って熾烈な争いが…

 

そして、比較的条件が緩い奨学金であればあるほど、

返済義務はついて回ってきます。これ大事よ(/・ω・)/

 

 

 

 

それから、地味に痛いのが

日本の住民税です。

 

毎月の固定費の中で、最も大きな出費です。

住民税、健康保険料、年金…

 

私たちの収入と貯蓄では、とても賄えないため

私も夫も住民票を抜いて、

これらの支払い義務がなくなるようにしました。

 

長期滞在者にとっては金銭的なメリットが大きいものの、

デメリットをあえてあげるのであれば

 

例えば、健康保険の適用が受けられません。

日本に一時帰国したときに怪我をしたり、

定期検診に行きたくても、それは全額実費で負担しなければなりません。

 

 

 

「お金」は生活レベルに直結する

 

駐在家族には家賃補助があるという話をしました。

私たちにとっては、家賃補助があるだけでも生活がうんと楽になるのに、

駐在家族と留学家族の格差はそれだけではありません。

 

・暮らしの違い。住む場所、アパート、治安、食事、娯楽…

 

まず、住める場所が違います。

日本とは違い、アメリカは貧富の差が大きく、

街の治安、住人の民度、道の整備レベルなどに如実に表れます。

 

一般に駐在員の家族は、

治安の良い、よく整備された街に住むことができます。

 

道がキレイで、街全体の景観が整っており、

地域によっては夜間に出歩くことも可能です。

 

歩いていける場所に(日本人でも安全に買い物ができる)スーパーがあったり、

レストランやカフェ、図書館も充実しています。

 

 

一方、

私たちはとってもそんな場所に住むことはできません…!

 

いまの家賃だってRA収入の7割は持っていかれているというのに、

私たちが住んでいる地域の治安は決して良いとは言えません。

 

歩道はぼろく、

芝生にはゴミが散らばっています。

歩いていけるスーパーは、雰囲気が悪く、入るのがためらわれます。 

 

その他にも、

22時過ぎに家のドアをノックされたり(おそらくホームレスの無心)、

深夜には誰かが花火を鳴らす音(違法のはずなのに…!)、

油断するとすぐに出るネズミやG。

 

交差点にはたいてい信号待ちの車に花を売ってお金を稼ごうとするひとがいるし、

ガソリンスタンドやコンビニにはドルやたばこをくれ、と言ってくるひとたちがいます。

 

日が沈んだら、外に出たくありません(/・ω・)/

命の危険を感じたことはないけど、

女性一人で気軽にお散歩できる地域ではありません。

 

 

 

・「お金」がなくて塞ぎこんだ日もあるんやで

 

アメリカにきて5ヵ月、

わたしが痛烈に実感させられたのは、

「お金と生活の質は直結している」という

まぎれもない事実でした。

 

日本にいたときはそれほど感じなかったけど、

街ごとに治安や街の整備レベルにガクッと格差があるアメリカで、

より強く感じるようになりました。

 

アメリカではずっと主婦なので

空いた時間で語学学校に行きたいと思っても、

生活費の収支はいつもトントンなので

とてもじゃないけど、趣味や習い事を始める余裕はないのが現状です(/・ω・)/

※2021年5月30日追記※

隣のcountyで開かれている無料のESLに通うことになりました!

教会やcommunity collegeなどが無料のESLを開いている場合があるので

リサーチしてみるといくつか出てくるかもしれません(最初はそれを調べるのが大変だけど…)

 

食料品だって常に少しでも安いモノを選ぶべく、

Unit priceとにらめっこするし、

買ったからには絶対に使い切ります。

 

私がアメリカに来た時にIKEAで見つけた、

400ドルの小さなタンスですら、とっても勇気がいる買い物でした。

 

アメリカに来てすぐ行った日本食料理店では、

その値段の高さ(1品20~25ドルくらいだったと思いますが)にびっくりし、

少しでも安いものを…と恐る恐る注文するわたしの傍ら、

アペタイザーやアルコールを臆せず注文する現地の人々をみて、

アメリカでも日本食食べられるんだ!」という喜びよりも、

「お金がないと何もできない」というみじめさを感じて帰ったこともあります。

 

一番つらかったとき(アメリカに来て1ヵ月後くらい)は、

見学がてら駐在員が住むエリアをドライブしたとき、

自分たちが住むエリアとの違いをまざまざと見せつけられた気がして、

気づいたら泣いてました…

 

(/・ω・)/

 

家賃補助があったら、どんなに楽なんだろう…!!!

 

 

 

②それでも私が渡米を決意した理由

 

 

「じゃあアメリカなんていかなきゃよかったんじゃね!?」

「もっと貯金しておけばよかったんじゃね!?」

 

…ハッ、すみません…

空想で「こういう反論きたら嫌だな」を考えてました…(/・ω・)/

 

お金がないのは、分かってましたよ!!

だけど、どうして会社を辞めてまで、

アメリカに来たかったのか。

 

 

辞めたくなかった会社、社会的価値の自己評価

 

・会社員としての自分のキャリア

 

私は、去年まで(ちょうど一年くらい前まで)

とあるおもちゃ会社で働いていました。

 

品質保証のお仕事を経て、

念願だった企画・開発担当へ!

 

子どもの成長に携わる仕事がしたい、という思いで就職した会社。

事業としては理想の会社でした。

最初は、希望とは違う配属にすごーーく悩んだりもしたけど

精一杯勉強して、真面目に経験を積んで、

やっと手にしたおもちゃの企画・開発職…!

 

忙しくて難しくて大変だったけど、

先輩や上司に助けられながら、なんとか走ってきました。

中には、そこそこ売れた商品もあったり…(/・ω・)/

生活はちょっと不規則だったけど、

やりがいを感じられる、本当に楽しい仕事でした。

 

もしかしたら、あと数年頑張れば昇進してたかも?

もっとたくさんヒット商品を出して、テレビに出れたかも?

なんて可能性もあったかもしれない(/・ω・)/笑

 

だけど、仕事よりも家族!って気持ちが強くて、

事情を会社に説明して、退職しました。

 

仕事は代わりにやってくれる人がいるけど、

夫には代わりはいないし…と、

上司との面談で正直に言いました(真顔)wwwwwwww

 

 

 

・究極、再就職はできると思った

 

あ、退職した企業に再就職する、という意味ではなく(/・ω・)/!!!

 

夫のPhD留学は5年コース。

3年半付き添ったとしても、日本に帰ってくるのは30代の序盤。

 

会社でバリバリ活躍している先輩方よりまだ年下やんけ!(/・ω・)/

 

30代なんて、知力も体力も全然あるし、

もし英語を習得すればアドバンテージがひとつ増えるわけです。

 

会社員としてのキャリアを考えた時に、

この3年間のブランクで損をすることはほとんどないんじゃないかな…と。

帰国したとき、働きたい気持ちがあったら

また就職活動をすればいいや、と思いました。

 

(巷では、30代女性っていつ子供産むかわからないから

雇ってもらえない…なんて噂もありますが、

そんな会社はこっちから願い下げだ!!(/・ω・)/)

 

 

 

 

やっぱり家族と一緒にいたい!

  

・「留学」という試練を一緒に乗り越えたかった

 

「大学院留学」、「PhD留学」と聞いて、

その様相がピンと来る方は、

きっとアカデミアの世界に何らかの形で関わっている方に違いありません。

 

一般的には全くと言っていいほど知られていないと思います(/・ω・)/

 

簡単に説明しますと、

PhD留学とはつまり、博士号を取るための留学なのですが、

前回別の記事で紹介したとおり、

課題がと~~~~~~っっっっってもシビアなのです(/・ω・)/

 

kyoumix.hatenablog.com

 

鬼の量の論文を読み、

親の仇の如くDiscussionをするわけです。英語で。

 

もちろん、

課題や授業をこなすだけでもハードなのに、

炊事、洗濯、掃除だって自分一人でやらなきゃならない(/・ω・)/

 

おまけに英語で意思疎通ができなくて落ち込んだり、

授業についていけなくて弱気になったり…

 

この状況で「ずっとひとり!!」というのは

精神的になかなかキツイものがあります。

 

家事を引き受け、話を聞いたりして

全力でサポートしたかったし、

 

おそらく今後の人生のなかで

「最も過酷な期間」を

一緒に過ごせなくて、なにが夫婦だ!という強い気持ちがありました。

 

  

・1年半の遠距離生活を経て…

 

…と、ごたごた書いていますが!!(/・ω・)/

一番の理由は「遠距離ツレェ」に尽きると思います。

 

夫が先にアメリカ生活をはじめ、

あとから私が追いかけるかたちになりましたが、

その間、およそ1年半。

 

夫婦なのにずーーーーーっっっと遠距離生活をしていました。

夫の帰国は半年に1回。

時差が14時間(サマータイムは13時間)あるから

平日はLINEだけ、週末は電話…みたいな感じで。

 

キエーーーーーッ!!!

ほんともうね、国内の遠距離恋愛とは比べ物にならんよ。

新幹線か国内線に乗れば数時間で会えるじゃん!時差ないし!

(全国の遠距離恋愛さんすみません…)

こちとら片道14時間。往復30万円。

パスポートいるし時差もあるんよ。

地球の反対側に夫がいるって、どういうこと?冒険家なの? 

 

 

 

③「家族の絆」「異文化体験」なんて美談で終わらせるな

 

①のような金銭事情も分かっていながら、

②のように決意して渡米した私。

結果的に、アメリカに来てよかったなとは思ってます。

 

「異国の地で生きる」経験は私を強くしてくれると思います。

だけど、話はここで終わりじゃない(/・ω・)/

 

本当に伝えたいメッセージはこんな「美談」なんかじゃない。

あともうちょっと!

長いけど、最後まで読んでくれたら嬉しいです。

 

 

渡米してよかった、とは本気で思う

・異文化体験、家族といられる安心感

 

初めての海外生活。

やっぱり「異文化」に触れるのは楽しいし、勉強にもなります。

人種やアメリカの歴史について学ぶきっかけにもなったし、

改めて日本の良さに気づいたり。

 

なにより、夫婦で過ごせる安心感。

渡米してすぐ、COVID-19や人種差別への抗議活動が

立て続けに発生し、

こんな状況で別々に暮らしていたら、毎日不安で仕方なかったと思います。

 

・「貧乏だったけど楽しかったよ」

 

…と、渡米前、夫の留学が決まったころ

夫の日本での指導教官の奥さんが、

自分たちのPhD留学時代の思い出を話してくれました。

 

気持ちはすごくわかる。貧乏だけど、まぁ~~~~楽しい。

お金がないって散々書いたけど、

お金がなくても楽しいことは山ほどあるし、

工夫とリサーチ次第で充実させられるのは事実!(/・ω・)/

 

食材だって手探りだから

スーパーでさえ毎度新鮮な気持ち。

買ったことない銘柄を見つけては

「これ、試してみる?」が合言葉なのです。結構素敵でしょ?(/・ω・)/

日本だとどんな銘柄が美味しくて、値段はいくらくらいで…って相場を知ってるけど、

アメリカだとそうもいかないから。

 

駐在妻の悩みと対処法について解説したブログなんかでも、

大変だけど、「家族の絆」が深まりますよ!

「異文化体験」楽しみましょう!

なんて言葉で締めくくられている。

 

いや、ほんとその通りなのよ。

その通りなんだけど…

 

 

 

 

もう一歩踏み込んで考えてみてほしい。

大学院留学は、

「貧乏だったけど楽しかったよ」で終わらせていいのか?

 

 

 

「研究者」という職業を支え、学問を発展させ続けるために

 

・「研究者」は立派な職業だ

 

大学院留学生とその家族は、

経済的に非常に厳しい暮らしを余儀なくされています。

 

それは、会社員しか働き方を知らない人からすれば、

「学生なんだからトーゼン」って思われるかもしれません。

 

だけど、研究者はひとつの立派な職業です。

将来の教育と学問の発展を担う、立派な専門職のひとつです。

 

研究者は学問と研究に真摯に向き合い、

新しい仮説が立てられないか、またそれを証明できないか

日夜努力しているわけです。

 

うまく書けないけど、宗教じみちゃうけど、

学問って人類のロマンであり、永遠のテーマだと思うのです。

自然科学であっても、社会科学であっても、人文科学であっても。

学問があるから科学があるわけで、

科学が発展するからこそ人は豊かになれる。

 

いまいちピンときていないかもしれませんが、

研究者は教育レベルの底上げにも大きく関わります。

例えば…だけど、

良い教育をするためには良い教員が必須であり、

その教員を育てるためには良い大学が必要で、

良い大学を作るには良い大学教授が必要ですよね…?(/・ω・)/

 

ちょっと無理やりすぎ?伝わらないかなぁ。

だけど、

学問を担い続ける研究者がいてこそ、

社会は豊かになる、と私は思っています。

  

 

・「研究者」はおいしくなさすぎる職業

 

それなのに、経済的には全く恵まれない。

修士、博士と大学に残っているうちに、

同期の友人たちはゴリゴリ稼いでいくわけで(/・ω・)/

 

将来的に学問と教育を担う重要な職業のはずなのに、

実際に職につけるのはどんなに早くても30代。

理系なんてもっと競争が激しいから、なかなかポストが開かない。

貴重な20代、へたすりゃ30代をほぼ「投資」に費やさないといけないわけで、

まぁそこはある意味宿命だとしても、

こんなに長い期間、貧乏学生をしなくちゃならないなんて…!

 

一方で世間様からは「大学院生」「研究者」ってなんだ?状態なわけで、

大学院生が結婚しようものなら

みんなの常識が揺れる揺れる(/・ω・)/

結婚したとき、夫は大学院生でしたが(あ、いまもだ)、

職場で散々いじられ、「ヒモじゃんwww大丈夫www?」って言われました。

あの時は笑って反論してたけど、

絶ーーーーっ対許さないかんなーーー!(^ω^三^ω^)

幸い家族からの反対はされなかったけど(心配はされた)、

世間一般に理解を得られないのは、とってもつら~~~いのであります。

 

じゃあ将来的に収入で見返せるのか?

最終的に教授まで上り詰めれば、それなりの収入はいただけそうなものの、

日本の教授のお給料って、海外の半分くらいらしい(/・ω・)/

 

ぜんっぜんおいしい職業じゃあない!!!

まぢ草。草咲き誇って花。花咲き誇って夢。

 

優秀な学生であればあるほど、働き口には困らないから

学者にはなるまい!!!と思うだろうし、

これがある意味賢明な選択であるという事実は、

日本の将来の教育を支える優秀な人材が減っていく、ということを意味しています。

 

 

 

・PhD留学がなぜ必要か

 

「研究者になるためだけだったら、留学って必須じゃなくね?」

いや、鋭いですね~~~まさにその通りなんです。

 

大学院留学を経なくても、研究者の道に進むことはできます。

 

だけど、

研究者や学者を目指す学生にとって、

「海外PhD(博士号)」とは、

自分の能力を証明するために必要な、いわば"免許"のようなもの。

 

海外の学生と学び、ハードな課題をこなし、

語学を習得し、指導教官とともに研究を進め、

トップジャーナルを目指して論文を書く…

 

また、日本の大学院とは違い、

指導教官によらず体系的な知識を叩き込まれるなど

圧倒的なインプットの差があるようです。

 

日本の研究者界隈の事情はよく知らないけど、

研究者の仕事は主に論文を出すことなのに最近はめっきり論文を書かない…

なんて教員もいるなかで、

アメリカの大学院教授はトップジャーナルに

論文をバンバン載せているような方ばかりだそうです。

 

世界を見る、レベルを知る、視野を広げる…

なんて、"意識高い☆"って笑われそうだけど(/・ω・)/

本当にその通りで、PhD留学で得られる経験の価値は計り知れません。

何にも代えがたい、長い長い投資期間なわけです。

 

 

 

 

研究者を「おいしい職業」にするために

 

奨学金の拡充を、そして、チャンスを増やすべきだと思う

 

 

上記にも少し書きましたが、

大学院留学生を支援する奨学金は、

その額も、チャンスも、非常に限られています。

 

募集人数がほんと~~~に少ない。

求められるレベルが高すぎて、受給対象がトップオブトップの学生に限られる。

返済義務が生じて、借金が膨らむ。

応募が1年に1回しかできない…など。

 

中には、奨学金を申し込むための

面接をするため(受給されるとは限らない)だけに

帰国させるところもあるとかないとか(何考えてるの?)

 

あまり現実的な話ではないかもしれないけど、

奨学金の額の引き上げと、

申請のハードルを下げること、

そもそもの受給対象者を増やすこと…など。

 

もし経済的な援助が可能になれば、

大学院留学は、より魅力的な選択肢になります。

(今は、そんなに苦労してまで

海外PhD欲しくないヨって思ってる学生も多いはず)

 

もらった奨学金を家賃に充てられるだけでも

大学院留学生の生活はかなり変わります。

 

今後の大きな課題ではないかと思います。

 

 

・帯同家族へのサポートも視野に入れてほしい

 

少ないお給料でやりくりし、

治安の悪い地域に住まざるを得ない。

 

大量の課題がアサインされる大学院の授業、

英語で書かなければいけない論文…

それらと一人で向き合いながら、生活も整えないといけない…

ある意味孤独との戦いでもあります。

 

それなのに、

家族を帯同させようと思ったら

さらにお金がなくなってしまうし、治安の悪い地域に家族で済むのは不安…

そう考えるのが、自然だと思います。

 

「じゃあ、帯同させなければ?」って思った方、それは早計ですよ(/・ω・)/

 

繊細なテーマなので詳しくは書きたくないけれども、

3人目を食べさせる経済的余裕は、どうやって作りだせばいいのでしょう?

 

ってね!思うわけです(/・ω・)/

日本では、大学院生が結婚すると揶揄されて、

留学に帯同するとびっくりされますが、

こちらでは結構普通のことなんです。

 

留学してみてわかったことだけど、

配偶者や子供を連れて留学してる人、結構おるんやで。

RAの給料自体が少ない、っていうのももちろんあるけど、

「家族連れ」の留学がもっと当たり前のこととして認知されるといいなと思います。

 

 

・留学妻も、雇用保険の受給期間延長をできるようにしてほしい

 

駐在妻との格差を感じたのはアメリカに来る前にもありました。

(駐在妻さん、またもや引き合いに出してすみません!!)

 

私は、真面目に(!)6年間働いていたので、

当然、失業保険を受ける権利がありました。

だけど、留学に帯同することが決まっていたので、

すぐに就職活動ができなかったのです。

(失業保険は、退職後、再就職までの就職活動期間を支援するためのお金)

 

だけど一部例外があり、

病気や介護、出産、そして、、

「海外赴任への帯同に伴う退職」の場合、

失業保険の受給開始時期の延長を申請することができます。

 

ハローワークの窓口で

わたしも対象になりませんか?と相談したら、

そっけなく、

「留学は関係ないっすね」って言われました(/・ω・)/チクショーーーー

まじ小梅太夫…。

 

たぶん一生忘れないと思います。

わたし、仕事できないわけじゃないし、

仕事したくないわけでもない。

 

どうして、海外赴任への帯同ならいいのに、

大学院留学はだめなの?

研究者志望の学生にとって、

留学が「重要なキャリア」だったとしても?

 

生活費が補てんされる駐在妻、

一方でなにも補助がなく、失業保険の受給資格すら奪われる留学帯同妻…(/・ω・)/

 

本当に悔しくて、何が違うのか、論理立てて説明してほしいなって思った(/・ω・)/

まじ小梅太夫…。

 

 

 

・「研究者」の待遇を上げて、結果的に教育に投資する

 

私は、大学教育や、研究など、

教育全体にかける予算をもっと増やして

学者や研究者、の待遇を向上させるべきだと思います。

 

正直、これだけ少子高齢化が叫ばれていると

福祉に予算を回さざるを得ないし、

「すぐに結果がでない研究」や、

「お金にならない(商用化できない)研究」は後回しになりがちです。

 

ただ!

何度も書いているけど、

人間の豊かさを支える根幹にあるのは学問だと思うし、

学問や科学の発展を支えるのは、他でもない研究者です。

それに、

「最終的に日本の将来を担うのは子供たち」なのだから、

教育への投資は絶対に必要です。

(どう投資するか、はまた別の話ね(/・ω・)/)

 

だけど、研究者の待遇があまりにも悪いから、

あえて研究者をキャリアとして選ばないケース(思いつきもしない)がほとんどなのです。

 

もしも研究者や学者が

おいしい職業だと認識されるようになれば

学生も就職先のひとつとして考えるだろうし、

「教育業界」が大きくなればお金の流れも大きくなるし、

その結果日本の研究・教育が充実するんじゃないかなぁ…?

と私は思います。

 

 

・層が厚くなってこそ、トップが生まれる

 

 世の中には、「Fラン」と呼ばれる大学があったり、

「就活失敗したら最悪院進するべ?」って人がいたり。

教育機関や教員、学生たちの質は、ピンからキリまであります。

 

中には、教育にかける予算を絞って、

あまり成果のない大学や学生は淘汰されるべきだ、

と考えるひともいるかもしれません。

 

一理あるとは思います。

だけど、高い山を作るためにはひろ~~~~~~い裾野が必要なわけで(/・ω・)/

 

レベルが低い大学もあれば、高い大学もある。

意識が低い院生もいれば、高い院生もいてこそ

「教育業界」が成り立つわけで、

競技人口が少なくて、どうして優秀な人材を発掘できるのでしょう(/・ω・)/

 

多彩な研究がなくて、

どうして新しい発見ができるのでしょう??(/・ω・)/

 

そう思うと、「研究者」という職業を応援する社会的意義について

イメージが沸いてきませんか?

 

 

 

エピローグ

 

この記事を書くことを、何度も悩みました。

日頃ずっと考えていたことですが、

あえて発信するべきなのかどうか…というところから、

 

これを読んだ人に、何を伝えたいのか?

書いたところで、きちんと伝わるだろうか?

心無い批判が飛んでこないだろうか…?とか諸々。

 

ただでさえ親しみがない

「研究者」「大学院生」「PhD留学」といったワードの面々…

もっと想像が及ばないであろう「その妻」の存在。

 

我々「留学帯同妻」は、いつも「駐在妻」のことを意識してるけど、

「駐在妻」は「留学帯同妻」のことなんて

知らないんだろうな~~~~~~…なんてことも考えながら(/・ω・)/

 

この「その妻」の視点から、

自分たちが置かれている環境や思いを発信することで、

研究者を目指す学生や研究者を応援することの社会的意義について

読者のみなさんに考えてもらうきっかけになればと思い、

ブログをカタカタさせてもらいました。

 

結果、総文字数が10000字超えの大作になっちゃったけど、

もしシェアされてURLが独り歩きしたときも

この記事だけで自立できるように、あえて一つの記事にまとめました。

 

いろいろ書いたけど、

無責任に

「教育に金を落とせ!」とか、

「大学院留学生と家族を保証しろ!」って言いたいわけじゃありません。

 

だけど、もう自費でPhD留学なんて無理なのよ。

うちはこれでもラッキーなほうです。

 

可能なら、民間企業や財団、

あるいは投資家の目を向けさせられると良いな~~~~~とは

常々思ってます。

私は、もしお金持ちになったら

大学院留学生を支援する財団を作りたいです。

 

あ~ぁ、どっかに話のわかる大富豪いねぇかなぁ…(/・ω・)/